■作品内容
「聖女よ、尊き娘よ。魔の王に相対するため、もっとも愛しいものと子供を作りなさい」その日、私は一人の神官の娘から、聖女へと召されました。若く衰えない尊い肉体と、神に準ずる力を得たのです。あらゆるものが聞いた神託でしたから間違いはありません。私は賢く、そしてとても頭のおかしい娘でしたから、少しだけ不安に思いつつも、大変嬉しかったです。聖女とは勇者たちを育み、産み落とす母胎――そう、神から世界でもっとも良質と認められた母胎なのです。私はそのお役目を、そんなふうに捉える頭のおかしい娘でしたから、最後に忠告されたのかもしれません。「──そなたの愛は重すぎる。我でもそれは止められぬ。くれぐれも行きすぎないように」そんなの分かっています。愛する人の意思は、慮りたいですから。「おはようございます──お父様」そうしてかつて神殿の下級神官だったこの人が、私の最愛のひと。──最高の母胎を作り出した、お父様でした。
■サークル名:I’m moralist